2011/04/23

身体障害者手帳と嘘

これまでのブログにも記載したものの、
身体障害者手帳所有者は、所得税減税措置が受けられる。

個人事業者は、確定申告時に申請すればいいのかな?
自分のようなサラリーマンは、総務や人事に、その手帳のコピーを提出しなければならない。

そっと“免疫障害”と記載されてる面は、コピーせず、
写真と承認番号と記載されてる面のみのコピーを提出した。

従って、あくまでも、自分がHIVであることは公言していない。

人事、総務系の従事者でリテラシーの高い人なら、
仲の善し悪しに関わらず、尋ねてよいこと悪いこと見極めつつ、会話してくれる。

“個人的過ぎる、あまり公にしたくない話なんだけど・・・” って手渡した担当者は、
その内容を見るや否や、仕事人の顔になって対応してくれたので、多くを語らずに済んだ。
ありがたい。

それでも、好奇の視点とは別に、
組織としてもフォロー策があるのであればという視点で、
勤務上の考慮すべきことがらがあるのであれば、伝えて欲しいという要望。

根拠なく身体障害者手帳を給付される訳がない訳で・・・。
業務上支障あることがら、考慮すべきことがらについての配慮・考慮としての有り難い言葉だ。
でも、もやもやっと語りだす言葉に、免疫とか感染症という言葉を本能的に避けてる自分を感じた。

結果的に、簡単に言えば、ごまかし、嘘をついた。


また、実はちょっと体力的な不安を感じている。
もうすぐ四十路な自分は、気持ちだけで仕事してるというか・・・徹夜続きを繰り返す中での、体力的な問題に直面してる。

皮膚炎症が激しいので、3種と軟膏を処方されてるが、今月から摂取量が倍増した。
飲むと眠い、体調によっては、頭痛や嘔吐を伴う、そんな状況。
それでも、ものづくりしてる仕事は好きだ。だから、やれてる。
年齢的には、組織上人の上に立つ立場。なにげなーく断ってきたいわゆる管理職。
プロジェクトの責任はとっても、組織としての責任までを負うことは避けてきた。

逃げ場感じず、こういう体調不良を理由に断った。

残ったのは、ついた嘘と、重ねた嘘。

症状的には偽りなくとも、根拠として偽ったことがまた自業自得。

そう感じる反面、公言する勇気はないのも事実。
表面的な自分、根幹的にいる自分、両者を感じた。

どうあるべきか?!を常に意識し、提案してる立場の人間が、
事情と都合で対応した矛盾過ぎる事柄。

薬を飲み続けるプレッシャーと同じように、突き通さないと行けない事柄を産んだ瞬間。

何もかもが偽りじゃないか?!と自分に対しては強く思う今日この頃。

ちょっと酒の力を借りたい夜でもあるな・・・。

2011/04/13

身体障害者手帳というもの

身体障害者手帳は、これからの治療にとって、無くてはならないものの一つである。
これがないと、簡単に生活は破綻してしまう。
厳密に言えば、様々なサービスが受けられず、高額医療費への負担軽減サービスも受けられず、高額医療費を負担することとなる。

自分の場合、身体障害者手帳申請時の月額薬品代は27万円ほどだった。一般の健康保険で負担するなら3割の8.1万円の負担となる。12ヶ月の1年間で、97万円を越える。1年間で100万円貯蓄すると想像すると、その壁の高さが感じられる。人によっては低い壁でもあり、高い壁でもある。毎月保険や税金でしょっ引かれる額に値する額だし、給与明細をみて、“税金高い!”と嘆き、“税金がなければ、もっと楽になるのに…”と思える訳で、そういう大きさの金額だ。

ここまでかかる医療費を、何とか軽減していくことが、純粋な死活課題になる。

3月下旬だったかな・・・。区役所から1通、郵便物があった。
受け取ってた際は、忙殺されてて開封もしないまま大事なものだろうと、しまい込んだままだった。開封すると、“障害者福祉手当認定通知書”とある。
身体障害者手帳を受領した時に、窓口で説明を受けた“わずかですが、高額治療にお役立てください”と言葉を添えられて案内されたものだ。少額でも心から有り難いと感じている。
自分の暮らす東京都では、都営交通無料乗車券も配布される。全員に配布されるが、配布自体は、本人の申請により発行されるそうだ。

HIVポジティブの場合、投薬治療開始を機に、身体障害者手帳の申請をする。概ね、HIV+発覚がエイズ発症でなければ、免疫障害の項目に該当し、3級として認定される。

エイズ発症を機にHIV+が発覚した場合、致命度合いに応じて、1級や2級の認定もあるそうだ。既にHIV以外で身体障害者認定を受けてる人は、既存の障害に免疫障害が追加合算されるため、エイズ発症で致命的でなくとも2級以上の認定がなされるらしい。

身体障害者手帳があって受けられるもの
  • 自立支援医療(更生医療)
これは高額治療に対して、補助が得られるもので、国の援助。
利用者は原則1割負担で診察を受けられる。
また、収入に応じて、自己負担額に上限が設定される。自分の場合は、HIVに纏わる治療費は、月額10,000円までとなる。それ以上かかった場合は、国が負担してくれる。
  • マル障(心身障害者(児)医療費助成 )
これも医療費軽減の助成制度で、都道府県単位の援助。
HIV以外で治療を受ける場合、医療費の負担は1割のみですむ。
“腰を痛めて整骨院で治療した”・・・腰を痛めたことがHIVに起因しない場合でも、
診察時に提示すれば、1割負担で治療が受けられる。
自分は東京都から交付されている。仮に隣の神奈川県の病院でこんな治療を受けた場合でも、区役所に申請に行かねばならないが、結果的には還付され1割の自己負担となる。
  • 税金の減免
これは国の制度で、自動車税や住民税、所得税など減免及び控除となる。
控除額は収入に応じて異なる。
  • 公共料金の軽減
・水道局は公的機関であるため、一定量の免除などがある
・NHKの受信料も免除される
・東京都の場合は、都営交通機関の無料利用券が発行される

ざっとこんな具合。

自分の場合、手帳申請前から月額10,000円以上の医療費を払っていた。HIV+としての定期的血液検査代と皮膚疾患の治療費。
結果、有り難いことで、今まで以上の医療費かからないことになる。こういう場合、楽観的に“得してる”と指摘されるのだろうか・・・。今後、どんな合併症で治療が必要になるのか漠然とした不安は大きなしこりとしてはらんでいるものの、何も起こらない可能性だってある。結果的に何も起こらなかったら、確かに、“得してる”ことになるんだろうな・・・。

そう思うと、この処遇が受けられることに感謝する反面、後ろめたさで萎縮してしまう。
投薬治療も始められなかったにも関わらず、1割負担で診察を受けたことがとても居心地の悪く、いつも支払っている差額の2割を赤十字の義援金に入れた。

親孝行と一緒で、こういうことはやった本人の自己満足にしかならないのだろうけど、後ろめたさは緩和されたように感じている。投薬治療が始まったら、恩恵を受けて浮いた分については、親のために使うか、将来の不安のための軍資金とするか・・・それくらいのことしか浮かばないが、こういう制度のおかげで、理性を失わず何とか現実を受け入れつつ過ごせてることに感謝する想いでいっぱいだ。

2011/04/12

見送られた投薬治療

東日本大震災の爪痕は、簡単には治らない。
自分の取引先でも、直接的な被害はなくとも、被災企業として特例の中で平常化を目指し日々奮闘中だ。
震災の影響は、間接的に生まれた。
クライアントからのFBに遅れが出たり、停電で作業が滞ったり。でも、“延期”という単語は現れはしない。4月を迎え、ギリギリまで奮闘し一部が無事にローンチした。でも、ギリギリまで奮闘しても受けた影響は追い上げには限界があり、2週延長。要件を少し変えて、今月末まで奮闘せねば。

一段落がようやく付けられそうになった4月始め、月1の検診に行ってきた。
練習用のビタミン剤、何とか飲んではいたけれど、決まった時間に飲めたことなどできなかったと自覚してる。

10時、20時、25時 この辺りが自分の3度のチャンス。守れたのは3月半ばまで・・・。

3月後半に入ると、まともな生活は送っておらず、週3回は会社に泊まった。 日の出に焦りながら、何とか翌朝までの目標を達成し、デスクや会議室で仮眠。 朝、出勤してきた仲間のざわつきで、飛び起きてメールチェック。そこからまたフィードバックに対応し、気がつけば、夕方だったり夜だったり…。
こんな毎日は続く訳がない。 ざわつきに気付き目覚めることも、そのうちできなくなる。 目覚ましにも、周りのざわつきにも、全く気がつかず、気付けず、目覚めたら6時間が流れてたり。

年中こんな状態ではないが、年に数回はこういう状況に陥ってきた。
診てもらって3年目の医師は、そういう自分のライフスタイルも知っている。“だからこそ、飲む時間を意識して欲しい”と。

  • 飲むタイミングを失っても、予定時刻の7時間以内に飲む
  • 可能な限り、1日2回確保する

或る意味、“観測不能”と自分は開き直っていて、冷静且つ当然のことを指摘する医師の言葉に、叱責や叱咤のように聞こえ、視線が右往左往しながら窓の外に広がる青空の1点を見つめる始末。

もう1ヶ月トライアルを行うこととなった。

帰り道、ピルケースを探して雑貨屋へ。消化する気持ちを高めるために、消化することへの達成感を持続させるために。

4月の定期検診は、血液検査だけで終えることになった。
仕事も同じだけど、気持ちだけでなく、行動で結果を出しつつ挑まねば・・・。
こういう気の遣い方が、仕事以外に出てくるのは正直ツライことだ。仕事は本能的且つ計画的に。余暇は本能的なものだけの中にゆくる穏やかな目標や望みをつないで成り立ってる自分だから。

でも、これをクリアしないと何も始まらない。そう追い込んでいるのは、誰でもない自分である訳で。次回の検診に向けて、One More を構築すること。なんだか成長不良に悩む社会人そのもののような気分。他人と比較しようもないことがパーソナリティ。吉と出すか、凶と出すかは自分次第。努力を認めてもらうのではなく、結果を認め合う時。

そんなことを思いながら、次回の検診に向けて挑む。