2011/04/13

身体障害者手帳というもの

身体障害者手帳は、これからの治療にとって、無くてはならないものの一つである。
これがないと、簡単に生活は破綻してしまう。
厳密に言えば、様々なサービスが受けられず、高額医療費への負担軽減サービスも受けられず、高額医療費を負担することとなる。

自分の場合、身体障害者手帳申請時の月額薬品代は27万円ほどだった。一般の健康保険で負担するなら3割の8.1万円の負担となる。12ヶ月の1年間で、97万円を越える。1年間で100万円貯蓄すると想像すると、その壁の高さが感じられる。人によっては低い壁でもあり、高い壁でもある。毎月保険や税金でしょっ引かれる額に値する額だし、給与明細をみて、“税金高い!”と嘆き、“税金がなければ、もっと楽になるのに…”と思える訳で、そういう大きさの金額だ。

ここまでかかる医療費を、何とか軽減していくことが、純粋な死活課題になる。

3月下旬だったかな・・・。区役所から1通、郵便物があった。
受け取ってた際は、忙殺されてて開封もしないまま大事なものだろうと、しまい込んだままだった。開封すると、“障害者福祉手当認定通知書”とある。
身体障害者手帳を受領した時に、窓口で説明を受けた“わずかですが、高額治療にお役立てください”と言葉を添えられて案内されたものだ。少額でも心から有り難いと感じている。
自分の暮らす東京都では、都営交通無料乗車券も配布される。全員に配布されるが、配布自体は、本人の申請により発行されるそうだ。

HIVポジティブの場合、投薬治療開始を機に、身体障害者手帳の申請をする。概ね、HIV+発覚がエイズ発症でなければ、免疫障害の項目に該当し、3級として認定される。

エイズ発症を機にHIV+が発覚した場合、致命度合いに応じて、1級や2級の認定もあるそうだ。既にHIV以外で身体障害者認定を受けてる人は、既存の障害に免疫障害が追加合算されるため、エイズ発症で致命的でなくとも2級以上の認定がなされるらしい。

身体障害者手帳があって受けられるもの
  • 自立支援医療(更生医療)
これは高額治療に対して、補助が得られるもので、国の援助。
利用者は原則1割負担で診察を受けられる。
また、収入に応じて、自己負担額に上限が設定される。自分の場合は、HIVに纏わる治療費は、月額10,000円までとなる。それ以上かかった場合は、国が負担してくれる。
  • マル障(心身障害者(児)医療費助成 )
これも医療費軽減の助成制度で、都道府県単位の援助。
HIV以外で治療を受ける場合、医療費の負担は1割のみですむ。
“腰を痛めて整骨院で治療した”・・・腰を痛めたことがHIVに起因しない場合でも、
診察時に提示すれば、1割負担で治療が受けられる。
自分は東京都から交付されている。仮に隣の神奈川県の病院でこんな治療を受けた場合でも、区役所に申請に行かねばならないが、結果的には還付され1割の自己負担となる。
  • 税金の減免
これは国の制度で、自動車税や住民税、所得税など減免及び控除となる。
控除額は収入に応じて異なる。
  • 公共料金の軽減
・水道局は公的機関であるため、一定量の免除などがある
・NHKの受信料も免除される
・東京都の場合は、都営交通機関の無料利用券が発行される

ざっとこんな具合。

自分の場合、手帳申請前から月額10,000円以上の医療費を払っていた。HIV+としての定期的血液検査代と皮膚疾患の治療費。
結果、有り難いことで、今まで以上の医療費かからないことになる。こういう場合、楽観的に“得してる”と指摘されるのだろうか・・・。今後、どんな合併症で治療が必要になるのか漠然とした不安は大きなしこりとしてはらんでいるものの、何も起こらない可能性だってある。結果的に何も起こらなかったら、確かに、“得してる”ことになるんだろうな・・・。

そう思うと、この処遇が受けられることに感謝する反面、後ろめたさで萎縮してしまう。
投薬治療も始められなかったにも関わらず、1割負担で診察を受けたことがとても居心地の悪く、いつも支払っている差額の2割を赤十字の義援金に入れた。

親孝行と一緒で、こういうことはやった本人の自己満足にしかならないのだろうけど、後ろめたさは緩和されたように感じている。投薬治療が始まったら、恩恵を受けて浮いた分については、親のために使うか、将来の不安のための軍資金とするか・・・それくらいのことしか浮かばないが、こういう制度のおかげで、理性を失わず何とか現実を受け入れつつ過ごせてることに感謝する想いでいっぱいだ。

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